歳を取ると、欲しいものが減る。
昔は服屋に入れば何かしら欲しくなった気がするが、最近はそうでもない。
今日は珍しく欲しいものがあった。
靴だ。
歳を取ると、欲しいものが減る
ちょっくら買い物でもするかと、オーチャードまで出た。
シンガポールで買い物をするなら、とりあえずオーチャードに行けばいい。Orchard駅を出ればION Orchardに直結していて、そのまま歩けば高島屋にも行ける。
ユニクロもある。無印もある。靴もある。ハイブランドもある。
金さえあれば何でもある。なければ見るだけでもいい。
それでも見つからなければ、一駅先のSomersetまで行けば、また大きなショッピングモールが待っている。
この辺を全部回って「欲しいものがない」となったら、たぶんシンガポールのせいではない。
自分が何を欲しいのか分かっていないだけだ。
S$212のNikeを買った
俺は今日は分かっていた。
最近よく見かける、Nikeのローファーっぽい靴が欲しい。
見つけた。買った。
S$212。
日本だといくらなのか。
買ってから考えることではない。
そもそも買い物というのは、会計が終わってから最安値を検索するとだいたい不幸になる。だから調べない。
新しい靴が手に入った。それでいい。
ION Orchardの丸玉ラーメンへ
買い物が終わると腹が減る。
人間というのは面倒くさい。靴を探しているときは靴のことしか考えていないのに、手に入れた瞬間から次は飯のことを考えている。
ION Orchardの地下4階、#B4-54に丸玉ラーメン(MARUTAMA RA-MEN)がある。何度か行っている店だ。
ION Orchard地下4階 #B4-54のMARUTAMA RA-MEN。人物の顔は匿名化PHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
カウンターとテーブル席がある丸玉ラーメンの店内。人物の顔は匿名化PHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
いつもの一杯ではなく、赤ラーメン
丸玉ラーメンでは、いつも普通の鶏スープのラーメンを食べる。
別日に食べた通常の丸玉ラーメン。やさしい鶏スープにチャーシューと煮卵PHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
やさしい味だ。
シンガポールに住んでいると、味の濃いものを食べる機会が多い。
辛い。甘い。油。ニンニク。
それはそれでうまいのだが、たまにこういう鶏のスープを飲むと落ち着く。
通常の丸玉ラーメンS$14.90、チャーシュー麺S$18.90などが載った訪問時のメニューPHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
だから今日も普通のでよかった。
メニューを見るまでは。
赤ラーメンS$16、タンメンS$14などが載った2026年8月31日のメニューPHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
赤ラーメン。
こういうものを見つけると、人間は余計なことをする。
普通のやつがうまいと知っている。何度も食べている。失敗しないことも知っている。
それなのに、赤ラーメンを頼んだ。
俺はラーメン屋の変化球メニューで、あまり当たりを引いたことがない。
期間限定。激辛。トムヤム風。なんとかスペシャル。
食べ終わってから「普通のでよかったな」となる。
人生と同じで、余計なことをしない方がだいたいうまくいく。それでも余計なことをしてしまう。
パクチーとレモンが入った「アジアのラーメン」
パクチー、青ねぎ、青さ、キムチ、肉団子、レモンが載った赤ラーメンPHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
一口食べる。
うまい。
もう一口。
やっぱりうまい。
予想していた「辛いラーメン」とは少し違う。もっとアジアだった。
パクチーが入っていて、どことなくベトナム料理のような空気がある。東南アジアのスープ料理と日本のラーメンの間にいるような味だ。
シンガポールで食べるには、妙にしっくりくる。
こういう変化球で当たりを引くこともあるんだなと思った。
卓上には辛味、ごまなどの調味料も並んでいる。
丸玉ラーメンの卓上に置かれた調味料PHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
ただ、この赤ラーメンは何も足さず、そのままでも十分に味が決まっていた。
S$16が、会計ではS$19.18
赤ラーメンのメニュー価格はS$16。
サービスチャージがS$1.60、GSTがS$1.58加わり、会計はS$19.18だった。
2026年8月31日の赤ラーメンのレシート。S$16にサービスチャージとGSTが加わり、合計S$19.18PHOTO: MIDNIGHT STANDARD / さんた提供
シンガポールで外食していれば、サービスチャージとGSTにはすぐ慣れる。
メニューにS$16と書いてあっても、S$16札を握りしめてレジに行ってはいけない。
まあ、S$16札なんてものは最初からない。
レモンを入れるタイミングを完全に逃した
そして、このラーメンにはレモンが付いていた。
味変用だ。
最初から入れるのはもったいない。半分食べたところで絞ろう。
そう決めた。我ながら完璧な計画だった。
食べる。うまい。
食べる。うまい。
また食べる。
なくなった。
麺が全部なくなった。
そこで気づいた。
レモン。
完全に忘れていた。うますぎて食うことに夢中になっていた。
もう丼の中にはスープしかない。
せっかくなので絞った。レモンを。麺のないラーメンに。
これがまた、うまい。
酸味が入るとスープの雰囲気が一気に変わる。パクチーとも合う。アジアンな香りがさらに立つ。
さっきまでとは別のスープみたいになる。
これは絶対に麺と一緒に食った方がうまい。
分かっている。分かっているけど、麺はもうない。俺が全部食ったからだ。
仕方なくレモン入りのスープだけを飲む。
次は絶対に半分で入れようと思った。
S$212の靴より、レモン
店を出れば、またオーチャードだ。
きれいなショッピングモールに、ブランドショップ。少し歩けばSomerset。その先には俺の好きなCuppage Plazaもある。
昼間にNikeで靴を買って、ラーメンを食べて、夜になればまた違う顔になる。カッページ周辺でKTVへ行く夜も、この辺りから始まる。
シンガポールは小さい。
小さいから、一日の中にいろいろなものが詰め込まれている。
今日だって、ただ靴を買いに来ただけだった。
S$212の新しい靴を買った。普通ならそっちが今日の主役だろう。
でも家に帰る頃には、なぜかラーメンのことを考えていた。
正確には、途中で入れられなかったレモンのことを考えていた。
S$212のNikeより、食いそびれたレモン。
人間の記憶なんて、そんなもんだ。
この記事の確認情報
- 最終訪問
- 2026.08.31
- 最終更新
- 2026.08.31
- 情報の根拠
- さんた本人が2026年8月31日にION Orchard地下4階 #B4-54のMARUTAMA RA-MENを訪問。赤ラーメンS$16、サービスチャージS$1.60、GST S$1.58、合計S$19.18をメニューとレシートで確認。通常の丸玉ラーメンは別日の本人撮影写真として区別。外観・店内・料理・メニュー・レシート・卓上調味料は本人提供写真で、撮影メタデータを削除。外観と店内の人物は顔を匿名化。Nikeの購入価格S$212は本人の購入記録に基づく。
更新履歴
- 初版公開。オーチャードでの買い物と丸玉ラーメンの赤ラーメンを、本人撮影の8枚とともに掲載。
当日の会計と、別日の一杯を分ける。
赤ラーメンの価格と会計は2026年8月31日のメニュー・レシートで確認しています。通常の丸玉ラーメン写真は別日に食べた一杯として、当日の赤ラーメンと区別して掲載しています。



